理事長挨拶

 本学会は、「家畜心電図研究会」として1964年4月に発足して以来、今日に至るまで斯界のリーダー的存在として、獣医循環器学にかかる学術情報の発信と普及に重要な役割を果たしてきました。循環器学の研究は、心臓における電気的現象の解明が端緒となり、心電図学を核として発展を遂げました。その後も心臓を中心とする循環器系を総合的・俯瞰的に理解する方向で深化し、臨床分野からの問題提起と基礎研究分野における問題解決が両輪となり、動物医療の進歩と発展を支えてきました。この間、研究会の呼称も1984年5月に「家畜心電図研究会」から「獣医循環器研究会」へ、1992年5月には「日本獣医循環器学会」へと発展的に改称されました。さらに、学会を取り巻く法人化の流れの中で、2015年4月には「一般社団法人 日本獣医循環器学会」として新たなスタートを切りました。
 本学会は、動物の循環器医療を志す若手獣医師ならびに循環器の基礎的研究に携わる若手研究者の教育と育成を目指し、延いては日本における獣医循環器学の向上に貢献することを目的としております。そして、学会活動の大きな2本の柱として位置付けているのが、年2回開催する学術集会(定例大会)と定期的に実施する認定医講習会です。
 1つ目の学術集会ですが、本学会の歴史を紐解いてみますと、有志によって企画された1回目の集まりは「心電図集会」という名称で、1962年の日本獣医学会の折に岩手大学で持たれました。第2回の心電図集会は1963年に東京大学で開催され、1964年の第3回開催時には「家畜心電図研究会」の名のもとに正式に立ち上げられました。それ以降、定例大会は春季と秋季の2回開催され、2014年度の春季定例大会には100回目を迎えました。一方、研究会の発足当時は会員数が69名でしたが、現在では1,200名前後まで増加しており、近年の定例大会は益々活気を帯びています。
 2つ目の認定医講習会ですが、本学会では、より専門化した獣医循環器学に関する知識と実践能力を備えた臨床医や研究者の育成を支援する方策の1つとして、2001年7月に動物循環器認定医制度をスタートさせました。この制度の根幹をなしているのが認定医講習会であり、これまで合計42講座を2年間で一回りするように設定・開講してきました。20年近く経過した2020年、講座内容を見直して合計34講座に取りまとめるとともに、アドバンスコースとして新たに16講座を立ち上げ、近い将来には当学会認定医の中から国際水準をクリアするレベルの専門家を養成することも視野に入れています。
 今日、獣医療、とりわけ循環器分野の高度専門化への期待は大きく、この学会が果たす役割は益々大きなものとなってきています。こうした社会的要請に応えるため、本学会としては、学会活動のより一層の活性化と研究成果の社会への還元を積極的かつ継続的に推進していく所存です。

2020年(令和2年)12月21日
一般社団法人日本獣医循環器学会
理事長 町田 登