理事長挨拶

 本学会は、1964年に「家畜心電図研究会」として発足して以来、今日まで斯界のリーダー的存在として、獣医循環器学にかかる学術情報の発信と普及に重要な役割を果たしてきました。循環器学の研究は、心臓における電気的現象の解明が端緒となり、心電図学を核として発展を遂げました。その後も心臓を中心とする循環器系を総合的・俯瞰的に理解する方向で深化し、臨床分野からの問題提起と基礎研究分野における問題解決が両輪となり、動物医療の進歩と発展を支えてきました。この間、研究会の呼称は1984年に「獣医循環器研究会」、1992年には「日本獣医循環器学会」へと発展的に改称されました。さらに、2015年には「一般社団法人 日本獣医循環器学会」として新たなスタートを切りました。
 本学会は、動物の循環器医療を志す若手獣医師ならびに循環器の基礎的研究に携わる若手研究者の教育と育成を目指し、延いては日本における獣医循環器学の向上に貢献することを目的としております。そして、学会活動の大きな柱として位置付けているのが、年2回開催する学術集会(定例大会)と定期的に実施する認定医講習会です。
 学術集会は1962年に「心電図集会」として初めて開催され、1964年の第3回からは「家畜心電図研究会」として正式に立ち上げられました。それ以降、定例大会として春季と秋季の年2回開催となり、2023年の春季までに118回を開催しております。そして、会員数は研究会の発足当時の69名から、現在では1,200名前後まで増加し、近年の定例大会は益々活気を帯びています。
 認定医講習会は、より専門化した獣医循環器学に関する知識と実践能力を備えた臨床医や研究者の育成を支援する方策の1つとして、2001年に動物循環器認定医制度の根幹としてスタートし、当初は合計42講座を2年間で一巡するように開講してきました。約20年を経た2020年には講座内容を見直して合計34講座に取りまとめるとともに、本学会認定医の中から国際水準をクリアするレベルの専門家を養成するための一環として新たに16講座のアドバンスコースを立ち上げました。また、国際的な専門医制度を視野に入れ、2023年には公益社団法人日本獣医師会に設置されている「認定・専門獣医師協議会」の事業へ参画し、本学会が審査・認定していた「動物循環器認定医」と「動物循環器専門家」は、審査を本学会が担い、認定は公益社団法人日本獣医師会が行うシステムに移行することの具体的な検討を開始いたします。
 循環器分野の高度専門化への期待は大きく、本学会が果たす役割は益々大きくなりますが、小動物臨床家のみならず、産業動物臨床家や研究者も多数参加していただけるよう、学会活動のより一層の活性化と研究成果の社会への還元を積極的かつ継続的に推進していく所存です。

2023年(令和5年)8月28日
一般社団法人日本獣医循環器学会
理事長 松本浩毅